愛知県蒲郡市は14日、市立ソフィア看護専門学校で15件のアカデミックハラスメントがあったとして、副学校長だった女性看護師(62)=現・専門員=と、教員の女性看護師(52)を戒告の懲戒処分にしたと発表した。「教員により学生へのハラスメントがなされ、元副学校長が事実上容認、助長していた」と結論づけた。処分は13日付。
15件のハラスメント行為を認定
昨年6月、2、3年生と保護者がハラスメントを訴え、鈴木寿明市長あてに要望書などを提出。市は、教育長や弁護士らでつくる調査委員会を立ち上げ、1年がかりで学生や教員らに聞き取りをして報告書にまとめた。14日に公表した。
報告書では、教育現場での指導と叱責(しっせき)の線引きについて、「教育指導の目的を有していた場合でも、叱責が教育指導として適正な範囲を超えている場合にはハラスメントに該当する」と定義。教員自身が怒りの感情をコントロールしないまま、「学生から弁明を聞き取ることなく叱責する」「他の学生の面前で大声で叱責する」「学生の人格を否定するような内容の叱責をする」などと具体例を挙げた。
その上で、3人の教員にについて、学生に対する計15件のハラスメント行為を認定した。
うち11件が戒告処分を受けた教員の行為で、2年生全員に「全員1回は泣かせる」と発言したり、ほかの学生の前で特定の学生に、「3年生にあなたをあがらせない、あなたを落とす」と言ったりしたという。
元副学校長については、不適切な指導を容認するような態度を示したと指摘した。加えて、全学生を対象に学習環境などを確かめる年度末アンケートについて、保存期間を過ぎていないのに、廃棄したと述べたことを問題視。複数の学生から、指導の問題や教員変更の要望など意見が記載されていたからだ。報告書は「自身の監督責任の追及を免れようとして、証拠隠滅のために廃棄した可能性も疑われる」と一連の対応を批判した。
さらに報告書は、学校内の自浄作用を弱め、ハラスメントが放置された背景に、「教員間の確執(ハラスメント)」があったと言及した。元副学校長と学生へのハラスメント行為が認められた教員3人を含めた4人と、学校に長年在籍していた教員らとの間で、「派閥ともいうべき関係性が構築され、確執が学生の指導に対し一定程度の影響を与えていたことは否定できない」とした。
鈴木市長はこの日の会見で、「学生および保護者、関係者、市民のみなさまに不快な思いをさせ、信頼関係を傷つけたことを深く反省しています。申し訳ありません」などと陳謝した。(戸村登)
調査中だが、すぐに「緊急措置」
「教員のハラスメントで学業…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル